【店舗内事故】【慰謝料請求】【被害者対応】店舗内でドアに接触し受傷した顧客からの損害賠償請求に対し、数万円の解決金を支払い、解決した事例

1.業種、相談の概要

三重県内で小売店を営むの社長様からのご相談です。

店内のフリースペースで着席し、店の担当者と話をしていた顧客(被害者の方)の体に、他の顧客(第三者)が開けたドアがたまたま接触しました。
ドアを開けた顧客の方は、ドアの開けた先が見えなかったということですみませんと謝罪し、その場を去って行きました。話をしていた店舗の担当者は、すぐに大丈夫でしたかと声をかけ、その被害者の方も気をつけてほしいと言いながらもその場は収まり、その日は退店されました。

しかし、翌日、再度来店して昨日の担当者を呼び出し、「昨日の件で肩と首を痛めた。痛くて我慢できないので、タクシーで病院に行きたい。治療費とタクシー代を払ってくれ」などと言い始めました。これに対し、担当者は、他の顧客の対応中に呼び出され、顧客を待たせていたこともあって、ついそんな大きなケガではないでしょうと言ってしまったところ、「被害者にその言い方はなんだ、お前とは話をしたくない、社長を呼べ」と激高した被害者の方と口論になり、他の顧客もトラブルに巻き込まれるのを嫌がって次々に退店していきました。

その後、担当者から連絡を受けた社長が、当日の治療費とタクシー代を支払うよう担当者に指示をして、被害者の方は退店されましたが、翌日以降も仕事に行けなくなった、治療費や慰謝料として50万円を支払えなど、何度も店舗や社長宛に高圧的な電話が来たり、店としても対応に苦慮していました。

以上の経緯から、今後の対処方法について三輪知雄法律事務所に相談がありました。

2.相談から解決までの流れ

(1)初回相談、事故状況聴取

ご相談者は、過去にも別件で当事務所にご相談された経緯があり、本件についても、すぐに弁護士に依頼したいとのことでしたので、打ち合わせの場で本件に関する委任契約を締結しました。

事故状況については、店内で撮影した事故状況の再現動画を打ち合わせにて共有いただきましたので、すぐに担当弁護士も事故状況を理解することができました。
再現動画を見る限りでは、被害者の方の受傷の程度は重傷とは思われない状況でした。

(2)相談~顧問契約

相談者様の会社は複数の小売店舗があり、今後の同種事案の対応を見据え、顧問契約も締結するに至りました。当事務所では、ご相談内容や相談者様の会社の状況次第ではありますが、相談者様がご希望により、顧問契約や顧問弁護士の内容についてご案内させていただくことがあります。もちろん、顧問契約なしでのご依頼も可能となっております。

3.当事務所のサポート及び本件の結果

(1)被害者の方への対応

受任通知を発送し、店舗や社長宛に電話をしないように通知しました。これにより、窓口が弁護士に代わり、相手方から、店舗や社長へ電話が来ることはなくなりました。店舗のスタッフや社長は、事故日以来、多い日では数時間程度、相手方との電話対応等に追われていましたが、これを機に本業に集中することができました。

(2)客からの損害賠償請求に対する弁護士の交渉

相手方から、弁護士に対し、ドアの配置ミスではないか。店の責任だ。精神的苦痛もある。1ヵ月通院するので、治療費、慰謝料、タクシー代として50万円を支払え等の主張がなされました。

店内事故の損害賠償請求、慰謝料請求の裁判事例

民法709条では、「故意または過失によって他人の権利、または法律上保護される利益を侵害した者は、賠償の責任を負う」とあり、事故が起きる可能性を認識し、十分な対策を取っていれば店側の過失は認められにくいと言えます。

もっとも、店舗や施設の場合は、店舗内の設備に関して店員による案内が不十分であったり、メンテナンスを怠っていた、明らかに事故発生が予見される状態を知りながら放置していたなど、店舗側が事故予防に十分な対策を取っていない場合には、損害賠償責任が認められる可能性があります

本来であれば、診断書等を取り寄せ、被害者の方の主張される受傷とドアとの接触との因果関係を検討した上で、妥当な損害賠償案を提示するということが考えられますが、被害者の方は店舗担当者の言動に立腹され、通院を認めてほしいという考えであり、店舗側も当該建物にテナントとして入居している立場であり、長期の通院や訴訟は回避し、早期解決が期待される状況がありました。

そこで、相談者様と協議のうえ、被害者の方に対し今後同様の事故は発生させないことを説明するとともに、受傷に伴う通院の治療費や慰謝料として数万円を支払い、今後お互いが一切関わりを持たないこと等を誓約することで解決とする内容を提案し、解決となりました。

(3)店舗内事故の被害者対応の結果

弁護士が示談書を作成し、事務スタッフより被害者の方へ送付し、無事、示談書を取り付けることができました。解決金の支払手続も、当事務所において行いました。
示談書には、今回の支払をもって、本件に関する一切の精算であること、今後一切お互いが関わりを持たないことが含まれており、相談者様も解決に安心されるとともに、再び、同様の事故が起こらないように社内への周知を徹底されていました。

3.解決期間と弁護士費用の目安

ご相談の事例において、解決まで要した期間と三輪知雄法律事務所の弁護士費用は以下のとおりとなります。

解決まで要した期間と弁護士費用

○ご相談から解決までの期間:約2週間程度

○三輪知雄法律事務所の弁護士費用
 ・着手金:27万5000円(税込) 
 ・報酬:27万5000円(税込)

※消費税込の価格です。実費、日当等は別途。
※費用は、あくまで参考としてお示しするものであり、顧問契約の有無や相談内容によっても異なりますので、詳細は法律相談の際に担当弁護士までお問い合わせください。

4.三輪知雄法律事務所の担当弁護士からのコメント

本件の担当弁護士
三輪知雄法律事務所
代表弁護士:三輪 知雄

三輪知雄法律事務所の代表弁護士・税理士。
出身地:名古屋市。出身大学:京都大学法科大学院。
主な取扱分野は、労務トラブル、ハラスメント・クレーム・被害者対応、非上場株式と会社経営の問題など。

本件は、小売店を数店舗経営されている社長様からのご相談でした。

店内で偶然起こってしまった事故について、客から事故による治療費や慰謝料の請求をされたケースでは、客側と店側に受傷の程度や因果関係について見解の相違があった場合、店の立場からすると受傷した客に対し申し訳ないという気持ちが先に立ち、客の意向に反する主張や反論がしづらいと思われます。

そのような場合には、客側との交渉窓口に、第三者である弁護士を立て、交渉を進めることが、問題をより円滑かつスピーディーにできる方法です。本件のように、事故直後に意図しない形で店と客との間に対立が深まるようなやりとりが発生した場合にはなおさらです。

店側としては、この種のトラブルから早く解放されたいと思い、示談書などを取り交わさずにその場しのぎとしてお金だけ支払おうとすることが往々にしてあります。しかし、そのような支払は、店側としては一時的な支払のつもりでも、何に対する支払かが曖昧となり、客側としては今後も継続して支払ってもらえるとの期待を持つでしょうから、基本的には、領収書と引き換えの精算とするか、示談書などの書類の取り交わしの上で支払うべきと考えられます。

このクライアントは、別の件で当事務所に相談したことがあったため顧問契約に至りましたが、顧客が店舗内での接触、店頭事故等に至るケースでは、店側が直ちに対応を求められるケースが多くあります。適切に解決しないと、従業員の士気に関わりますし、他の顧客やモールなどの量販店との関係性にも悪い影響が波及しかねません。小売業や店舗業態の会社様は、継続的に弁護士に相談できる体制を整えておくべきかと思われます。

5.店舗内事故における客からの損害賠償請求・被害者対応に強い弁護士へのお問い合わせ

三輪知雄法律事務所の「店舗内事故における客からの損害賠償請求・被害者対応に強い弁護士」へのお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間・平日 9:00~18:00)」にお電話いただくか、下記の画像をクリック頂き、メールフォームによるお問い合わせも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

※この記事は公開日時点の法令等をもとに作成しています。
※個人情報保護及び争点の理解等の観点から、結論に影響がない範囲で事案の一部を変更している場合があります。