【法人破産】【個人再生】【債務減額】会社の破産、代表者の個人再生により、80%の債務を減額し、代表者の自宅を守ることに成功した事例

1.業種、相談の概要

  • 業種:小売業
  • 法人の総債務額:数千万円程度(1億円未満)
  • 依頼者:法人及び法人の代表者
  • 代表者個人については、自宅に住宅ローンの借入あり

小売業の会社を経営されている社長様よりご相談です。

7年前に会社を立ち上げ、会社設立当初は業績も好調でした。
しかし、新型コロナウイルス蔓延による不要不急の外出の自粛や物価高騰による影響で、徐々に売上が落ち込み、会社が立ちゆかなくなり、ついには破産せざるを得ない状況になりました。

法人の債務としては数千万円程度あり、金融機関からの借入については、代表者が連帯保証人となっておりました。

また、代表者様個人としては住宅ローンの借入もあり、破産し会社を失っても家族との時間を過ごす大切な自宅だけは何としても守りたいと強く希望されていました。

2.相談から解決までの流れ

(1)初回相談~受任通知発送

初回相談では、会社の現状、財産状況、借入等について詳しくお話を伺いました。
財産状況等から、法人については破産の可能性が高いと判断し、初回相談以降、担当弁護士において会社を訪問するなどして、破産申立てに向けた状況把握や問題点の整理、代表者様個人の状況把握に努めました。

複数回にわたり相談者様と面談を重ね、法人については破産手続を、代表者である相談者様個人については、自宅を残すためにも個人再生の手続をとることとし、破産手続に要する弁護士費用や裁判所へ納付する予納金の工面の段取りを行い、委任契約書を締結しました。

その後、直ちに受任通知を各債権者宛に送付しました。弁護士が代理人となり、破産手続準備に入った旨を通知することで、債権者からの取り立てや督促を停止させる効力があります。

また、受任通知送付後は、弁護士が代理人として窓口となり、債権者とのやり取りを行います。債権者との直接の連絡や交渉に忙殺されてきた相談者様としては、それらから解放され、安心されておられました。

(2)従業員対応、リース物件、財産処分等の対応

通常、会社の破産や廃業を選択する場合に必要となる、従業員への説明等については、当事務所において必要な文書の作成等を行いますし、従業員に対する未払の給与や残業代等についても弁護士にて対応することになります。
本件では、相談者様の会社は売上の減少に伴い徐々に従業員数を減らしていましたが、破産により最後まで残っていた従業員への対応や破産手続の説明については、担当弁護士より助言等を行いました。

また、売掛金等の債権回収や財産処分が必要な場合についても、必要に応じて弁護士が交渉、立ち会い、助言等を行います。
本件では、製造工場内の機械や備品の処分に際して、相談者様と協議のうえ、弁護士が交渉や立ち会いを行い、適正な処分を行いました。

(3)破産申立て

受任通知送付以降、相談者様と担当弁護士とで何度か打ち合わせを実施し、債権調査や財産の調査を行い、3ヶ月程度で管轄の裁判所に法人に関する破産申立てを行いました。

本件では、裁判所へ破産申立て後、3週間程度で破産手続の開始決定が出され、破産管財人(※)と呼ばれる第三者の弁護士が裁判所により選任されました。

破産手続開始決定以降、担当弁護士が同席のもと、相談者様と管財人とが面談を行いました。
本件では債権者集会が3回開催され、最終的には一定の金額については、債権者への配当が実施され、手続は終結となりました。

※破産管財人・・・破産者の財産を管理・処分し、債権者への配当や免責許可の可否を判断する役割を担います

(4)個人再生申立て

法人に関する破産申立てと同時に、相談者様個人についての個人再生申立てを行いました。
個人再生は、住宅ローンなどの特定の債務を除き、債務総額を大幅に減額することが可能となり、少なくなった残りの金額を原則3年間で分割して返済していくことになります。本件では、総債務の20%に当たる金額を、一定の年数(3年より長期)で返済していくことが認められました(住宅ローンについては、別途返済を継続します)。

今回の個人再生手続では、個人再生委員と呼ばれる第三者の弁護士が裁判所より選任されました。
個人再生委員は、債務者の財産や収入状況を調査したり、再生計画案の作成について必要な指示を出すなど、民事再生手続が適正に行われるように裁判所の職務を補助する役割をしています。

本件においても、個人再生委員との面談が複数回行われました。
個人再生委員との面談では、相談者様の財産状況や借入金について、また、今後の収入見込みなどを確認されます。
面談は、通常30分~1時間程度行われますが、代理人である担当弁護士も同席しますので、ご安心ください。

相談者様は、小売業の会社経営が立ち行かなくなった頃から、別の仕事に従事しており、月々の収入金額に幅があるものの、収入自体は安定していたことから住宅資金特別条項を利用した再生計画案が裁判所へ認められ、債権者への返済を続けながら、住宅ローンは従来通り返済をし続けることで自宅を守ることが可能となりました。

最終的には申立てから約7か月後に、裁判所から再生計画案の認可決定が出され、個人の手続きは終結となりました。

3.解決期間と弁護士費用の目安

ご相談の事例において、解決まで要した期間と三輪知雄法律事務所の弁護士費用は以下のとおりとなります。

解決まで要した期間と弁護士費用

○ご相談から解決までの期間:約9ヶ月程度

○三輪知雄法律事務所の弁護士費用

 ・報酬:110万円~165万円程度(税込)

※消費税込の価格です。裁判所への予納金、実費、日当等は別途。
※費用は、あくまで参考としてお示しするものであり、債務額、債権者数等のご相談の内容によっても異なりますので、詳細は法律相談の際に担当弁護士までお問い合わせください。

4.三輪知雄法律事務所の担当弁護士からのコメント

本件の担当弁護士
三輪知雄法律事務所
代表弁護士:三輪 知雄

三輪知雄法律事務所の代表弁護士・税理士。
出身地:名古屋市。出身大学:京都大学法科大学院。
主な取扱分野は、会社の倒産申立て、非上場株式の売買交渉、労務トラブル、税が関係するトラブルなど。

昨今の経済のデジタル化の進展、海外情勢の不安定化等の流れがとどまることはなく、経営者にとって、事業の縮小や撤退等の見極め、決断が非常に困難な時代を迎えていると感じております。
当事務所においても、多額の債務と多数の債権者がいる場合、各所から届く督促状や支払スケジュールの管理が追いつかないとか、事業を縮小していく過程におけるリース物件や賃借物件の返還を巡ってトラブルになるというご相談も寄せられております。まだ余力が残されているうちに、本当に会社が立ちゆかなくなる前に、法人、代表者個人を含めた全体の方向性を検討しておく必要もあると思われます。

破産や個人再生の専門家である弁護士を代理人とすることで、債権者とのやり取りを弁護士へ一任できますし、これらの手続に関する裁判所への提出書類については、提出期限等も設けられているところであり、しっかりと準備した上で手続の申立てを行う必要があります。

また、今回の相談者様のように会社の債務はゼロにしたいが、自宅を残したい」という場合は、会社は破産し、一定額の債務を返済するという個人再生手続の申立ても可能な場合があります。

こういったお悩みを抱えておられる方は、ぜひ当事務所の法律相談をご検討ください。

5.法人破産、代表者の個人再生手続に強い弁護士へのお問い合わせ

三輪知雄法律事務所の「法人破産、個人再生手続に強い弁護士」へのお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間・平日 9:00~18:00)」にお電話いただくか、下記の画像をクリック頂き、メールフォームによるお問い合わせも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

※この記事は公開日時点の法令等をもとに作成しています。
※個人情報保護及び争点の理解等の観点から、結論に影響がない範囲で事案の一部を変更している場合があります。