【経営権譲渡の契約】【建設業許可更新】建設業許可手続や経営権譲渡に伴う相談の事例
1.業種、相談の概要
建設業の会社の社長様からのご相談です。
5年ぶりに建設業許可更新の申請をする時期が来たが、久しぶりの手続のため、手続方法や必要書類がわからないということで、当事務所にご相談にいらっしゃいました。
毎年の事業年度終了届の提出や役員の変更などもあるため、まとめて届出手続をお願いしたいというご依頼でした。
また、事業年度終了届や建設業許可更新に関する書類作成のため、事業内容について伺っている中で、経営権の譲渡に伴う相談があり、ロイヤリティ支払の契約書を作成したいとのご相談もありました。
2.建設業許可とは
建設業許可は、一般建設業許可と特定建設業許可に分かれます。
この2つの違いは、元請工事を下請に出す際の金額により判断します。
元請工事の内、下請に出す工事の金額が総額で3000万円以上(建築一式工事は4500万円以上)となる場合は、特定建設業の許可が必要となります。
元請として工事を請けていない会社や、下請に出す工事の金額が3000万円未満となる会社は一般建設業許可となります。
3.建設業許可の有効期間
建設業許可の有効期間は、許可取得から5年間です。
そのため有効期間が過ぎる前に、更新の手続きを行わなければなりません。
有効期間は、許可取得日から5年後の許可取得日と同じ日付の前日までとなります。
許可取得日がわからない場合でも、建設業許可を取得した際に行政から送られてきた許可通知書に有効期間が書いてありますので、しっかりと確認するようにしましょう。
4.事業年度終了届の作成と提出
まず、依頼会社様は、毎年の事業年度終了届を提出する必要がありました。
事業年度終了届とは
建設業許可を受けたあと、5年後の更新まで何も手続がないかというとそうではありません。
許可を受けたあとは、年に1回事業年度終了届を提出しなければいけません。
提出期限は、決算終了後4ヶ月以内と決められています(決算が12月の場合は、翌年の4月が提出期限となります)。
この事業年度終了届が提出されていないと、建設業許可の更新ができなくなりますので、毎年必ず提出するようにしましょう。
事業年度終了届の提出について、必要となる書類について説明します。
(1)工事経歴書
許可を受けている建設業工事の種類ごとに作成する書類です。
年間完成工事高の60%を超えるまで、または請負金額の大きい10件までを記載します。
(2)直前3年の各事業年度における工事施工金額
許可を受けている建設工事の業種の施工金額を元請(公共、民間を分けて)、下請に分けて記載する書類です。
工事の施工金額の合計は、損益計算書の完成工事高と同額である必要があります。
(新規申請のみ直前3年の各事業年度における工事施工金額を記載する必要があります。)
(3)財務諸表
財務諸表については、下記書類を添付する必要があります。
・賃借対照表
・損益計算書
・株主資本等変動計算書
・注記表
(4)事業税納税証明書
事業税納税証明書について、許可を受けている内容によって、提出すべき証明書が異なりますので注意しましょう。
《知事許可の場合》
・法人…県税事務所発行の法人事業税の納税証明書
・個人…県税事務所発行の個人事業税の納税証明書
《大臣許可の場合》
・法人…税務署発行の法人税の納税証明書
・個人…税務署発行の申告所得税の納税証明書
(5)その他に必要となる書類
株式会社のみ必要となる事業報告書や、変更があった場合に提出する必要がある定款等があります。
各県の建設業許可を所管する部署が手引や案内書を出していますが(愛知県では、愛知県都市整備局都市基盤部都市総務課作成の手引があります)、かなり広範囲に細かく内容が記されているので、ご自身で一から作成するのは大変な作業量になるかと思います。
当事務所では、1年間の事業内容を伺い、事業年度終了届出書をはじめとする各種提出書類の作成から提出までを一括して行います。
5.建設業許可更新申請書の作成と提出
次に、依頼会社様は、建設業許可の更新手続を行いました。
ここで、建設業許可更新の提出書類として必要となる書類を記載します。
- 建設業許可申請書
- 役員等の一覧表
- 営業所一覧表
- 専任技術者一覧表
- 経営業務の管理責任者証明書
- 経営業務の管理責任者の略歴書
- 建設業法施行令3条に規定する使用人の一覧表
- 許可申請者の住所、生年月日に関する調書
- 株主(出資者)調書
- 営業の沿革
- 所属建設業者団体
- 健康保険等の加入状況
- 主要取引金融機関
この中には、前回の更新と内容が変わらなければ提出を省略することができる書類も含まれています。
建設業許可更新についても、愛知県都市整備局作成の手引があります。
しかし、かなり細かく内容が記されているので、ご自身で一から作成するのは大変な作業量になるかと思います。
当事務所では、建設業許可申請書をはじめとする各種提出書類の作成から提出までを一括して行います。
6.各種変更届の作成と株式会社変更登記申請
依頼会社様は、取締役の変更がありましたので、株式会社変更登記申請をあわせて行いました。
その後、愛知県都市整備局に対して、役員の変更についての届出を提出しました。
こちらの変更届は、変更の事実が発生してから30日以内に届け出る必要があります。
役員の就任及び退任についての変更届について、必要となる書類を記載します。
《就任》
- 変更届出書
- 役員等の一覧表
- 誓約書
- 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書
- 後見等登記事項証明書
- 身元証明書
- 登記事項証明書
- 株主調書
《退任》
- 変更届出書
- 役員等の一覧表
- 登記事項証明書
- 株主調書
既に取締役だった方が代表取締役に就任された場合は、提出を省略できる書類があります。
また、株主調書については、内容に変更がなければ提出する必要はありません。
7.ロイヤリティ支払の契約書作成
ご相談の過程で、「近いうちに社内の人間に事業承継をし、対価を得た上で経営権も譲渡したい」とのお考えを聞き、対価の授受も伴うものであれば、きちんと書面上で取り交わしが望ましいことを伝えたところ、経営権譲渡に伴うロイヤリティの支払の契約書を作成することとなりました。
相談者のご希望として、分割での支払とすること、相談者様が亡くなった後は、ご自身の妻がロイヤリティーを受け取れるようにしたいというご希望がありましたので、それらの点を条項化し、支払方法なども明確にした契約書を作成しました。
8.本事例の解決結果と弁護士費用の目安
本事例の解決結果
依頼会社様は、建設業許可更新からロイヤリティ支払の契約書まで、一気に複数の懸案が解決されたことに大変喜んでいただきました。
今後も、毎年の事業年度終了届の作成から提出までと、事業継承や経営を進めていくことで生じる問題や悩みについて継続的に相談に乗っていくことで合意し、依頼会社様は当事務所と顧問契約を結ぶこととなりました。
本事例の弁護士費用について
ご相談の事例において、解決までに要した期間と三輪知雄法律事務所の弁護士費用は以下のとおりとなります。
ご相談から解決までの期間と弁護士費用
○ご相談からロイヤリティ支払の契約書作成までの期間:2ヶ月程度
(事業年度終了届の作成・提出、役員等の変更届の作成・提出、建設業許可更新の完了、ロイヤリティー契約作成まで)
○三輪知雄法律事務所の弁護士費用
・報酬金:25万円(別途印紙代等がかかります)
※税、実費等は別途。
※費用は、あくまで参考としてお示しするものであり、顧問契約の有無やご相談内容によっても異なりますので、詳細は法律相談の際に担当弁護士までお問い合わせください。
9.三輪知雄法律事務所の「建設業許可手続・経営権譲渡に伴う契約書作成」に強い弁護士へのお問い合わせ
三輪知雄法律事務所の「建設業許可手続・経営権譲渡に伴う契約書作成」に強い弁護士へのお問い合わせは、以下の「電話番号(受付時間・平日 9:00~18:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
※この記事は公開日時点の法律をもとに作成しています。