【クレーム対応】【カスハラ】自動車販売会社の度重なるクレーム要求・カスタマーハラスメントに対し、弁護士介入により合意書を取り交わし、適法に解決した事例

1.業種、相談の概要

自動車の販売会社様からのご相談です。

顧客に納車した車について、エアコンに不具合が発生しました。修理をさせていただいたものの、今度は走行時にエアコンから異音がするなどと、再びクレームが入りました。

営業担当者から、エアコンの件はお客様へお詫びしたのですが、異音は確認できず、度重なるクレームのやりとりに、営業担当者や現場の店長は疲弊し対応しきれず本社のお客様窓口には1日に何度もクレームが入ってくるようになってしまいました。

窓口が変わっても、「もっとグレードの高い新車と交換しろ」、「明日の朝9時までに返答しろ」、「あんたじゃダメだ。社長が謝罪に来い」などと、要求はエスカレートし、困っています。

エアコンに不具合があったのは確かですが、修理はきちんとしましたし、その後に言われた「異音」についてはそもそも確認ができず、当社として、これ以上対応はできないと考えております。

会社としては、お客様の発言内容や対応等を鑑み、販売した自動車については、売買契約の解除を申し入れることにしましたが、先方は非常にお怒りで、聞き入れてもらえません。

以上の経緯から、今後の対処方法について三輪知雄法律事務所に相談がありました。

2.クレーム対応の解決結果

相談を受け、三輪知雄法律事務所の担当弁護士が、代理人として、購入者と交渉を行いました。

結果として購入者のクレームをやめさせ、契約解除をすることができました。

それにより、依頼会社様は、不必要な要求に応えることなく、クレームを解決することができました。

3.クレーム・カスハラ対応における重要なポイント
:早期解決によるダメージの最小化

今回のケースでは、不具合が発生してしまったことは認めつつも、購入者にいかに早くクレームをやめさせ、会社にとってダメージを最小限にとどめられるかという点が重要なポイントになりました。

依頼会社様の現場担当者は、長時間クレームの対応をさせられ、精神的な負担を感じるようになっており、他の顧客への対応など、本来の業務に影響が出ているようでした。

また、今回のケースでは、購入者の言動が非常に攻撃的で、店頭にやってきて他のお客様の前で騒動を起こしたり、SNSへの投稿をほのめかすなど、会社のレピュテーションリスク(風評リスク)も考慮する必要がありました。

このような、顧客が従業員に威圧的な言動や理不尽な要求を突きつける行為は、「カスタマーハラスメント」(カスハラ)と呼ばれており、近年増加傾向にあります。

そこで、早期解決と会社にとっての損失を最小限にすることを重視しました。

4.三輪知雄法律事務所の担当弁護士の対応・見解

担当弁護士:三輪 知雄

まず、依頼を受けた弁護士より、購入者に、「今後会社への連絡は一切取らず、弁護士宛に連絡をするように」通知しました。
これにより、購入者から会社への連絡はなくなり、弁護士宛てに連絡が来るようになります。

今回のようなクレーム対応では、下記の3点が重要となります。以下ご説明します。

クレーム対応の重要3ポイント

ポイント1.早急に窓口を弁護士へ変更する
ポイント2.会社としての方針・対応(補償)する範囲を明確にする

ポイント3.誓約事項などが記載された合意書の作成

ポイント1.早急にクレーム・カスハラ対応の窓口を弁護士へ変更する

(1)クレーム・カスハラへの対応を、お客様窓口や営業担当者が直接行い続けることは、デメリットしかない

クレームやカスハラの対応をお客様窓口や、店舗担当者が直接行い続けることは、デメリットしかありません。
デメリットの例を挙げるとすると、

  • お客様窓口や担当者の精神的な苦痛が大きい
  • 長時間の拘束を余儀なくされ、会社の損失が大きい。
  • 担当者の心理としては、あくまでお客様という意識が強く、クレーマーの過剰な要求に従ってしまう。
  • 他の顧客への対応など、会社の本来の業務に集中できず、さらなるミスやクレームを増やしてしまう。
  • 当事者同士がやり取りをすると、感情的な議論となり、解決に向かう話ができない。
  • 特定の顧客からのクレームが常態化したり、過去に解決したクレームをぶり返される。

このように、”業務妨害”とも取れる悪質なクレーマーに対し、時間を割き、誠実に向き合い続けるメリットはなく、早期にクレーム対応に強い弁護士に対応を任せるべきです。

また、クレーマーから「自宅に来い」など要求されたとしても、実際に訪問するかどうかは要検討です。高額な慰謝料や補償の同意を無理矢理させられる危険もあります。

面会は、喫茶店など公の場所にするとか、どうしても自宅に訪問する場合でも、1人で行くことは避け、複数人で訪問するなど対応を検討する必要があります。

(2)クレーム・カスハラ対応は早急に手を打たないと、2種類のリスクが高まります

クレーム対応は、早期に手を打たないと以下の2種類のリスクが高まります。

クレーム対応で高まる2種類のリスク

クレーマーからの損害賠償請求に対する支払ネットへの書き込み等による風評被害売上減少等、実際に会社が被る損失

・社員の精神的負荷による士気の低下、離職率の上昇等、労働環境の著しい悪化

解決までの時間を掛ければ掛けるほど、これらのリスクは増していきます。

会社の損害を最低限にし、また、大切な社員を守るためにも、クレームに対する対策には、クレーム対応に強い弁護士に依頼する必要があります。

(3)早急に弁護士にクレーム・カスハラ対応を依頼し、問題を回避

弁護士が介入することにより、これまで連日のようにあった依頼会社への連絡はなくなり、営業担当者もお客様窓口も普段の業務に戻れるようになりました。

ポイント2.会社としての方針・対応(補償)する範囲を明確にする

(1)クレーマーの要求は、時間と共にエスカレートしていきます

当事務所では、クレームの内容、正当性の有無、クレーマーの主張や性質などを分析し、法的な観点から、どの程度の対応(補償)が妥当であるか、早期にアドバイスさせていただきます。

今回も、担当弁護士との打ち合わせにおいて、まず、クレームの内容が正当なものかどうか、クレームや相手方の要求内容に対応する法的な義務があるかどうかについて検討しました。

クレームの正当性の有無やその他の事情により、どの程度の対応(補償)をするのか、要求を拒否するのか、クレームが顧客からのものであった場合には、今後のその顧客との付き合い方をどうするかなど、方針を決めます。

方針については、依頼会社様のご要望を尊重しますが、判断材料が少なく、正当なクレームかそうでないかの判断がつかない場合もあります。また、カスタマーハラスメント(カスハラ)は、客としての立場を利用するため、同じ職場の人間関係を念頭に置いたパワハラやセクハラのような対策は立てにくく、苦情との線引きも難しい面があります。

その場合でも、当事務所で過去に対応した事例等をふまえ、対応方針を早期に決める助言を致しますので、ご安心ください。

(2)エアコンの不調・異音の原因は不明であり、クレームの正当性は判断がつかない状況であった

依頼会社様と弁護士において、調査等を行いましたが、エアコンの修理後の異音というものは、はっきりと確認ができませんでした。

それを受け、依頼会社様と弁護士にて協議したところ、エアコンの不具合で迷惑を掛けたことやその後の購入者の言動などの一切の事情を考慮し、購入者が契約解除に応じてくれれば、原状回復として売買代金の一部を支払う一方で、この購入者に対し、今後、会社としては、営業的な対応は行わない、という方針になりました。

ポイント3.誓約事項等が記載された合意書の作成

(1)相手が口頭で納得したとしても、弁護士が書面を作成し、再び同じ内容のクレームの蒸し返しを防止する

提示した条件について相手がその場では納得したとしても、口頭のやりとりだけでは、「やっぱり先日の条件では納得できない」などと言い、再び同じ内容のクレームを入れてくる可能性があります。

これらのリスクを減らすためには、文書による合意を行う必要がありますが、合意書面は、よくあるインターネット等のひな形を使用するべきではありません。

解決時に弁護士が作成した合意書面を準備し、弁護士と相手方の双方がきちんと合意を取り交わす必要があります。

本件でも合意書作成、取り交わしまで三輪知雄法律事務所の担当弁護士にて行いました。

(2)合意書面は、弁護士が作成し非開示条項等を記載する

また、合意に関する条件は、性質上、開示がふさわしくない内容であることも多々あります。

昨今では、インターネットを通じた情報発信手段は豊富であり、SNSなどへの書き込みや、マスコミへの連絡などにより、事実であろうとなかろうと、情報は一気に拡散され、会社の風評被害につながりかねません

これらのリスクを減らすためには、解決時に弁護士が作成した合意書面を準備し、合意内容等を一切開示しないことを内容とする条項(非開示条項)を策定する必要があります。

(3)リスクを考慮した合意書の取り交わしまで弁護士が行います

商品の引き渡し、回収などが発生する場合、ご担当者様に同席いただくこともありますが、合意書の取付については、三輪知雄法律事務所にて行いますので、依頼会社様が必要以上に、相手方と顔を合わせることもありません。

最終解決まで様々な観点から法的リスクを勘案し、完全に蒸し返しのない解決を行う必要があります。

5.解決結果と弁護士費用の目安

解決結果のまとめ

本件では、会社の担当者や窓口担当が、1日に何時間もこの購入者の対応をさせられているということで、ご依頼いただきました。

顧客に対しては、会社や関係者には一切連絡をせず、弁護士まで連絡をするように通知しました。

これにより、顧客から会社に対する連絡はなくなりました。その後、弁護士が顧客との交渉を行っていき、無事商品の回収、返金、契約解除及び合意書の取り交わしをすることができました。

クレームを受けた場合は、早期の対応が重要です。

早期の段階で、クレームの内容を理解し、会社の方針を決定したうえで、適切な対応・提示をすれば、頑なな態度の相手方でも、あっさり引き下がることもあります。

ただし、解決時に取り交わす合意書・示談書などについては、クレームの内容やクレーマーの性質等を考慮し、リスクを鑑みて作成する必要があるため、弁護士に作成、少なくともチェックさせることをお勧めします。

なお、顧問契約を結んでいただいている企業様については、簡易な合意書のリーガルチェックは、顧問料の範囲内で行わせていただいております。

近年、客や取引先が加える暴言や長時間の抗議、土下座など過剰な要求といった迷惑行為は、カスタマーハラスメント(カスハラ)と呼ばれ、増加しております。

もし、御社において、クレーム・カスハラ対応が自社で出来ない、手が回らない、解決時の合意書・示談書などを作成して欲しい、チェックして欲しいなど、お困りのことがありましたら、クレーム・カスハラ対応に実績がある、三輪知雄法律事務所までご相談ください。

弁護士費用の目安

本事例の三輪知雄法律事務所の弁護士費用は、以下のとおりです。 

弁護士費用(顧問契約あり)

・着手金:約25万円程度
報酬:約25万円程度

※これらの金額は、あくまで参考のためにお示しするものです。

※弁護士費用については、顧問契約の有無会社の規模や社員数などにより異なってきますので、詳細は三輪知雄法律事務所までお尋ねください。

6.三輪知雄法律事務所の様々な分野の「クレーム対応」に強い弁護士へのお問い合わせ

三輪知雄法律事務所の様々な分野の「クレーム・カスハラ対応に強い弁護士」へのお問い合わせは、以下の「電話番号(受付時間・平日 9:00~18:00)」にお電話いただくか、下記の画像をクリック頂き、メールフォームによるお問い合わせも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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※この記事は公開日時点の法律をもとに作成しています。