【パワハラ】【慰謝料】【逸失利益】パワハラ被害を受けたとして従業員から会社に対し、500万円以上の損害賠償が請求されたが、100万円の支払で解決した成功事例

1.業種、相談の概要

顧問先である小売業の社長様からのご相談です。

相談者様の経営する会社の担当者より、暴言などのパワハラ被害を受けたと主張する従業員の弁護士から損害賠償を請求する書面が届いたとのことで、三輪知雄法律事務所にご相談にいらっしゃいました。

損害賠償を請求してきた従業員は、有給休暇消化期間中で近く退職予定とのことでしたが、弁護士からは、「誰」に「どのようなパワハラ」を受けたのかが詳細に書かれた文書も送られてきました。

パワハラを理由とした損害賠償請求はどこまで?

一般的にパワハラを理由とした損害賠償請求としては、以下の(1)~(4)の損害項目について請求されることが考えられます。

(1)パワハラが原因でうつ病と診断。通院を余儀なくされているため、それに伴い発生する治療費及び通院交通費
(2)精神的苦痛に伴う慰謝料
(3)逸失利益(退職しなければ得られたはずの賃金相当額)
(4)弁護士費用、遅延損害金

このうち、(1)及び(2)については、三輪知雄法律事務所に相談にこられる多くの相談者様も、想定の範囲内として受け止めておられる印象ですが、(3)については、数年から、定年までの年数分の年収が請求されることがあり、(3)及びこれに伴う(4)については、金額的にも全く想定外と感じられる方も多いようで、要注意です。

社員側の弁護士の主張と相談者様の考え方

社員側の弁護士の主張は、上記損害項目のうち(1)治療費及び通院交通費、(2)慰謝料として合計500万円の損害賠償を請求するとし、請求に応じられない場合には、訴訟を提起して、その中で(3)逸失利益や(4)弁護士費用、遅延損害金などを請求する、というものでした。

社員側弁護士の主張を受け、社長様が、他の従業員に対し、パワハラの有無について聴取したところ、改善が認められない当該社員に対し、上司としての指導上、かなり強い言い方になっていたようです。

パワハラかどうかはともかくとして、請求を起こしてきた社員も、これまで長く会社に貢献してくれた社員であることには変わりないため、社長様は、一定の金額を支払う心づもりでいらっしゃいました。
一方で、業務指導としての側面も一定程度あると考えられており、社員側弁護士の要求すべてには応じられないとのお考えでした。

ここで、パワハラの判断基準について整理しておきます。

パワハラと業務指導の判断基準は?

パワハラと業務指導の判断基準について

判断基準1:
言動が、部下の指導、教育という目的で行われたものか、それとも嫌悪の感情や退職に追い込む目的によるものかどうか。

・判断基準2:
言動の内容・程度が、業務改善、指導のために合理的なものかどうか。

判断基準3:
言動の内容に部下に対する人格的な攻撃を含んでいるかどうか。

2.三輪知雄法律事務所に相手方との交渉を依頼。交渉内容とその結果

(1)受任後、三輪知雄法律事務所の担当弁護士より受任通知を送付

初回の法律相談にて、社長様より今回の経緯をお伺いし、当事務所に委任していただくことになり、受任後、直ちに相手方に対し、書面(受任通知)を送付しました。
今後は、三輪知雄法律事務所の担当弁護士が交渉の窓口となるため、相談者様及び相談者様の会社へ直接連絡をしないよう書面に記載しました。

受任通知を送付したあとは、直接相手方から連絡がくることがなくなりますので、ご安心ください。

(2)相手方との交渉内容

社員側弁護士との間で、書面及び口頭にて複数回にわたり交渉を続けていきました。

社員側弁護士は、当方の主張に対し、パワハラとされる言動について、繰り返し主張をされました。
社員側弁護士が主張する発言内容を精査したところ、指導時間が長時間にわたっていたうえ、「給料泥棒」などの人格を否定する発言や、「こんな仕事なら新入社員でもできる」など、一部、業務指導として行き過ぎた発言が認められました。

ただし、社員側弁護士が主張する発言内容にも食い違いがあったうえ、業務ミスの再発防止を求める内容など、多くが業務指導に準ずる内容でした。
また、うつ病については、家庭の問題も原因として影響を及ぼしていること、逸失利益については、本人の状況的に再就職が可能であり因果関係がないこと、裁判等になれば会社側も強く争う用意があることを主張するなど、粘り強く交渉を続けました

お互いに早期解決を望んでいたこともあり、最終的には解決金として100万円を相手方に支払うことで合意しました。
結果として、相手方からの請求金額から大幅に減額することに成功しました。

(3)パワハラのトラブルを「早期に」「根本から」「永久的に」解決します

パラハラを理由とした会社への損害賠償請求に対する対応は、弁護士委任の必要性が高い

本件のように、パワハラに限らず、セクハラ、マタハラなどハラスメントを理由した元従業員とのトラブルを解決するに当たっては、現在も会社に在籍している従業員との関係も考慮しなければなりません。

元従業員は、今も会社に在籍している社員と連絡を取っている可能性がありますので、元従業員側の弁護士に対して、不誠実な交渉態度を取ったりすることにより、パワハラに関して有ることないこと噂が広がり、社員が動揺する可能性があります。また、特に地方の会社では、ブラック企業だと噂が広がると、採用にも影響が出かねないと考えられます。
しかも、おかしな噂が広がった場合に、後から噂の出所を客観的な証拠により特定することはほぼ困難です。

その意味で、パワハラ、セクハラ、マタハラなどハラスメントに関して、元従業員とトラブルになった場合には、仮に損害賠償請求額が過大であったとしても、誠実な交渉態度を取る必要があります。また、会社として、適切な対応を取っていることを在籍社員に示すためにも、弁護士委任の必要性は高いと考えられます。

社員からの質問に適切に対処し、社内の動揺を防ぐことが重要

本件では、社長様に対し、社員の一部から「パワハラがあったと聞いたがどうなっているか」などの質問が寄せられました。
社長様は、質問してきた社員が、元従業員と連絡を取っているかどうかが分からず、当初は回答に苦慮したようですが、三輪知雄法律事務所の担当弁護士と事前に打ち合わせしておいたおかげで、慌てて虚偽の事実を述べたり、隠蔽したりすることなく、「会社の顧問弁護士に調査を依頼しており、適切に対処している」と答え、社内が動揺することを防ぐことができました。

三輪知雄法律事務所は、トラブルを「根本から」「蒸し返しがない」ように解決します

【示談書】二度と蒸し返しのない解決を内容とする示談書の作成

解決にあたっては、元従業員側の弁護士と三輪知雄法律事務所の担当弁護士との間で、最終的な解決内容を書面にした示談書を取り交わします。

示談書には、金銭の支払条件のほか、本件の経過や示談条件その他関係事項を第三者に開示しない条項(非開示条項や、本件に関連する一切の問題を永久的に解決した旨の内容を記載して、解決となりました。

【原因から根本解決】担当弁護士が社長と上司等の面談に同席し、パワハラトラブルの再発防止へ

三輪知雄法律事務所の担当弁護士が、社長様とともに、パワハラ行為を行った上司と面談し、現在、どのような言動がハラスメントに該当するか、部下の指導等に取り組む際の注意点など、トラブル発生を契機としたハラスメントの再発防止についての講義をさせていただき、今後、会社でのパラハラ発生を防止する取り組みをさせて頂いております。

3.解決期間と弁護士費用の目安

ご相談の事例において、解決まで要した期間と三輪知雄法律事務所の弁護士費用は以下のとおりとなります。

解決まで要した期間と弁護士費用

○ご相談から合意成立までの期間:約3ヶ月程度

○三輪知雄法律事務所の弁護士費用(顧問契約あり)
 ・着手金:20万円程度
 ・報酬:40万円程度

※税、実費等は別途。
※費用は、あくまで参考としてお示しするものであり、顧問契約の有無、会社の規模や社員数などにより異なりますので、詳細は法律相談の際に担当弁護士までお問い合わせください。

4.三輪知雄法律事務所の担当弁護士からのコメント

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本件の担当弁護士
三輪知雄法律事務所
代表弁護士:三輪 知雄

三輪知雄法律事務所の代表弁護士・税理士。
出身地:名古屋市。出身大学:京都大学法科大学院。
主な取扱分野は、「労務トラブル、ハラスメント・クレーム対応、問題社員対応、不動産の立ち退き問題、経営者の相続・事業承継など」。

今回のように、従業員がパワハラ被害を受けたとして、会社に対して損害賠償請求をするケースが多くみられます。
その中には、パワハラを立証する証拠が十分に揃っていないにもかかわらず、多額の賠償金を請求される事案もあります。

また、三輪知雄法律事務所の顧問会社様の中にも、パワハラに相当する行為についてお問い合わせをいただくこともあります。

パワハラは会社側に不利益なイメージがありますが、相手方の主張を精査し、丁寧に主張することで、早期に解決することも可能です。

従業員から、パワハラが原因として慰謝料や逸失利益など損害賠償請求がされた場合には、まずは三輪知雄法律事務所にご相談ください。

当事務所では、パワハラトラブルを、会社に最小限のダメージで解決することはもちろん、担当弁護士が、パワハラ行為を行った社員・上司等との面談に社長様と同席し、どのような言動がハラスメントに該当するか、部下の指導等に取り組む際の注意点など、トラブル発生を契機としたハラスメントの再発防止についての指導等にも積極的に取り組んでおります。

5.三輪知雄法律事務所のパワハラ・労務トラブルに強い弁護士へのお問い合わせ

三輪知雄法律事務所の「パワハラ・労務トラブルに強い弁護士」へのお問い合わせは、以下の「電話番号(受付時間・平日 9:00~18:00)」にお電話いただくか、下記画像をクリック頂き、メールフォームによるお問い合わせも受け付けております。

また、当事務所の企業法務専門サイトには、企業法務に関する詳細な取り扱い分野解決事例などを掲載しておりますので、ご参照ください。

※この記事は公開日時点の法律をもとに作成しています。