◆パワハラ◆職場の「パワハラ」6類型をシンプルに解説します|三輪知雄法律事務所

職場におけるパワハラ(パワーハラスメント)とは

パワハラとは?

2019年には、「労働施策総合推進法」が改正され、職場におけるパワーハラスメント防止対策が事業主に義務づけられました。

中小企業については、2022年4月までは努力義務ですが、それ以降は正式な義務となります。 

  1. 優越的な関係を背景とした⾔動であって
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
  3. 労働者が⾝体的⼜は精神的に苦痛を与えられ、職場環境が不快なものとなり能力の発揮に悪影響が生じるもの

であり、1から3までの3つの要素を全て満たすものをいいます。

なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で⾏われる適正な業務指⽰や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。

パワハラの該当性の判断については、厚労省が2019年10月に出している「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!」によると、「言動の目的、労働者の問題⾏動の有無や内容・程度を含む当該言動が⾏われた経緯や状況、業種・業態、業務の内容・性質、言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心⾝の状況、⾏為者の関係性等を総合的に考慮して判断する」とされています。

以下、典型的にパワハラとされる6つの類型ごとに、パワハラの該当性について検討していきます。

パワハラの6類型とは?

職場におけるパワーハラスメントの状況は多様ですが、典型的な言動の類型として以下の6つの類型があります。

それぞれの類型に従い、典型的なパワハラについて検討していきます。

  1. 暴行
  2. ひどい暴言や侮辱、脅迫
  3. 職場内の人間関係からの隔離
  4. 不要なことや不可能なことの強制
  5. 合理的理由なく仕事を与えないこと
  6. プライベートへの過度の立ち入り

それぞれの類型について、裁判所でパワハラに該当すると判断された事例には、以下のようなものがあります。

1.暴行(身体的な攻撃)

  • 手を出すこと。足蹴り。
  • 相手に物を投げつける

これらの身体に対する暴力や、直接、身体に触れないものの、間接的な暴力に当たる行為については、犯罪(暴行・傷害)に当たりうる行為であるため、業務上の指導等として正当化することは困難であり、パワハラに該当する可能性は高いと考えられます。

これに対し、例えば、誤ってぶつかったケースなどはパワハラに該当しません。

2.ひどい暴言、名誉毀損、侮辱、脅迫(精神的な攻撃)

  1. 人格を否定するような言動。
  2. 相手の性的指向、性自認(※)に関する侮辱的な言動。
  3. 業務の遂行に関する、必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行う
  4. 他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責
  5. 相手の能力を否定し、罵倒するような内容のメール送信

1、2、5については、基本的に業務上必要のない行為であり、業務上の指導や正当性を見いだしにくいといえます。

3、4については、従業員の側に原因となる行為があり、指導、叱責等、それ自体は違法にはなりませんが、その方法、内容、程度が問題になります。

長時間の叱責、大声を出す指導、しかもそれを何度も繰り返すことについては、本当にその必要があったのか、問題になることがあります。

一方、例えば、遅刻など社会的ルールを欠いた行動や上司の指示に従わない言動があり、再三注意しても改善されない労働者に対して、一定程度強く注意をすること、また、その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、一定程度強く注意をするようなことについては、パワハラに該当しないと考えられます。

※「性的指向」とは、恋愛または性的感情の対象となる性別をいいます。
※「性自認」とは、自分が男性、女性、または、そのどちらでもないなど、自己の性別についての認識をいいます。

3.職場内の人間関係からの切り離し

  1. 自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりする。
  2. 一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させる

上記1、2については、労働者に対する嫌がらせや労働者を退職に追い込むことが目的となっているなど、そもそも業務上の必要性を説明できない行為かと思われ、パワハラに該当する可能性が高くなります。

これに対し、新規に採用した労働者を育成するために、短期間、別室で研修等を行うとか、懲戒処分を受けた労働者に対し、通常業務に復帰させるために、一時的に別室での研修を受けさせるなど、業務上の必要性や目的を明確に説明できる場合は、パワハラに該当しないと考えられます。

4.過大な要求(不要、不可能なことの強制

  1. 長時間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下において、勤務に直接関係のない作業を命じる
  2. 新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま、到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責する。
  3. 労働者に業務に関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせる。

上記1、3については、従業員に、会社の業務であると明確に説明しにくい労働を課しているわけですから、パワハラに該当する可能性が高いといえます。

また、2については、新卒採用者に対するオン・ザ・ジョブトレーニングの一環との説明も不可能ではないのですが、達成できないことについて、何のフォローも行わず、結果のみを叱責するのでは、パワハラに該当する可能性が高いと考えられます。
このようなオン・ザ・ジョブトレーニングを行う場合に、パワハラの認定を避けるには、相談できる立場の人間をきちんと用意したり、達成できなかった場合に、異なるアプローチをアドバイスするなど、フォローの体制を取っておく必要があると考えられます。

これに対し、従業員育成のため、現状よりも少し高いレベルの業務を任せたり、繁忙期等に、業務上の必要性から、担当者に通常よりも多い業務処理を任せるなど、そのような仕事を任せる業務上の必要性や、目的の正当性が明確な行為はパワハラに該当しないと考えられます。

5.過小な要求(合理的な理由なく仕事を与えない

  1. 管理職である労働者を退職させるため、草刈りや掃除、単純作業など、誰でも遂行可能な業務を行わせる。
  2. 気に入らない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えない。

これらは、労働者の能力や経験とは全く無関係であって、業務上の必要性や目的を説明できない業務であり、パワハラと認定される可能性が高いと考えられます。

これに対し、労働者の能力や経験に応じて、一定程度、業務内容や業務量を軽減する行為などは、業務上の必要性や目的が正当な行為であり、パワハラとは認定されないと考えられます。

6.プライベートへの過度の立ち入り

  1. 労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりする
  2. 労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露する

これらの行為は、業務上の必要性や目的が正当でないと考えられる行為であり、パワハラと認定される可能性が高いといえます。

これに対し、労働者への配慮を目的として、労働者の家族状況等についてヒアリングを行ったり、了解を得て、労働者の個人情報を必要な範囲で、会社の人事部等の関係者に伝達し、配慮を促すことは、業務配置等の判断を行う上で必要な行為であり、パワハラには当たらないと考えられます。

三輪知雄法律事務所のパワハラのトラブルに関するサポート3点

会社におけるパワハラのトラブルに関する、三輪知雄法律事務所のサポート3点を以下、ご説明いたします。

  • ①パワハラ調査に関するご相談
  • ②パワハラに関する会社の対応についてのご相談
  • ③パワハラの被害者との交渉、裁判等の対応

①パワハラの調査や判断に関するご相談

パワハラは、感情的に厳しい対立が生じるうえに、労災申請や損害賠償請求など裁判にも発展しやすく、無関係な社員及び職場環境への影響も軽視できない深刻なトラブルです。

パワハラの可能性を認識した場合、会社は早期に調査を行い、適切に対処することが必要です。また、できる限り訴訟を防止し、無関係な社員や職場環境を守ることも必要になりますので、早期にご相談ください。

三輪知雄法律事務所では、会社からのご依頼に基づき、パワハラについての事実関係の調査や、上記のパワハラの具体例や過去の裁判例等に照らし、パワハラの該当性について判断を行い、適切なアドバイスを行います。

②パワハラに関する会社の対応についてのご相談

双方の言い分、社内の調査結果、会社としての見解をふまえ、パワハラの認定をどうすべきか、被害者への対応や加害者の処分についてはどうすべきか等について、アドバイスを行います。

被害者に対する回答、加害者の処分をどうするか、被害者が休職したいと申し出たら・・・パワハラが発生すると、会社が対処すべき事項は多く、しかも早期に適切な対応が求められます。

三輪知雄法律事務所では、その一つ一つに対して、被害者の言い分、加害者の主張、その他会社が置かれた状況や社長の考え方、今後の展開等を予測し、適切なアドバイスを行います。ハラスメントに共通していえることですが、加害者と被害者の言い分が食い違うことが多くあります。

③パワハラの被害者との交渉、裁判等の対応

パワハラについては、会社と上司に対し、高額な慰謝料や損害賠償請求がなされ、折り合えない場合には、労働審判や裁判に発展するケースが急増しています。

三輪知雄法律事務所では、パワハラについて労働審判や裁判を起こされた場合も、労働審判、裁判に精通した弁護士が早期に対応し、大多数の社員や取引先、会社への影響が最も少ない解決を目指します。

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